昇降盤(テーブルソー)は便利で木工では必須と思われるものですが、とても危険でもあります。
カモジーは20年ほど前に、この昇降盤で大ケガをして2週間ほど入院しました。
指は無くなりませんでしたが、指4本を縦に削ぎ切りしてしまいました。横切りではなかったので、指は飛んで行かず、骨は少し無くなりましたが、神経は繋がっていて、リハビリで普通に使えるようにはなりました。
ここでは、このようなケガ防止を避けるための一つの方法を紹介します。
テーブルソー・昇降盤はとっても危険!
テーブルソーも昇降盤も基本的には同じものですが、どちらかというとテーブルソーはDIY系の呼び方で、昇降盤は本格的木工系の呼び方のような感じを受けます。
この機械の基本的な特徴は、テーブルから回転する丸ノコが生えていて、この回転する丸ノコに向かって材料を押していって切断するということですね。
この時に指も一緒に切断してしまうことが多いんですよ!これが。
もちろんガイドに沿って材料を押していくのですが、何かの加減で材料が突然暴れだすことがあります。そういう時は手を放せと教えられているのですが、つい暴れを抑えようとしてしまいます。
そして、材料が飛んで、指が刃に落ちるというパターンが多いです。
カモジーもこのパターンでした。
また、切り出す材が細い場合は、ガイドと丸鋸との間が、さながらピッチングマシンのように作用して、押さえ棒でしっかり押さえておかないとすごいスピードで飛んで行ってしまうことがあります。
これが原因でかなり離れた所にいた人のお腹に当たり、その日はなんでもなかったのですが、翌日に内臓破裂で亡くなってしまった例があります。
常に必ず押え棒を使っていればいいのですが、慣れてくると、つい手で送ってしまうこともあります。初心者よりもベテランがやってしまうこともうなづけます。
アメリカにはSAWSTOPという指が刃に触れた瞬間に刃が引っ込む優れモノがありますが、少しは切れますから、やはり痛いでしょうね。
ボッシュも後追いで同様なものを出しています。
テーブルソーを使うなら、指が無くなる前に、こういうものを使うようにした方がいいでしょうね。
ヒヤリハットは積みあがる
カモジーには、たまにギター二本とウッドベースで一緒に合奏する木工家仲間がいるんですが、昇降盤で指を落してしまって、セーハができなくなってしまいました。
仕方ないので、ギターとベースを交代してしばらくやっていたのですが、今度はもう一人も指を落してしまいました。
二人とも何十年も昇降盤を扱っているベテランだったんです。
ヒヤリハットの回数が積みあがっていると思わなければいけません!
対策をしないと、いつかやるんです。必ず。
ハインリッヒの法則における「300-29-1」という数字の意味するところは重大です。
300回のヒヤリハットがあると、29回の軽微な事故があり、ついに1回の重大な事故に至るということですね。
基本的に、刃に向かって材料を押していくという形は、当たり前ですが危険ですね。手押しかんな盤も同様です。
手持ちの丸ノコも危ない
手持ちの丸ノコは、材に向かって刃を押していくので、昇降盤よりは安全側にあるといえますが、やはり危険があります。
多いのはキックバックです。
不安定な材の固定などで材が暴れて、丸ノコが弾かれてコントロールが効かなくなり、負傷する場合があります。
安全カバーは絶対に外してはいけない!固定もダメッ
また、丸ノコの安全カバー
ですが、切り始めに引っ掛かるので、固定したり外したり人がいますが、甚だ危険ですので絶対にやらないようにしてください。
実は、恥ずかしながらカモジーはこれをやっていました。
ある時、作業台上の箱の上に丸ノコを置いて、コンセントにプラグを差し込みました。
するといきなり丸ノコが跳ね上がって、作業台上に落っこちて作業台を深くエグリながら走っていって、作業台から床に落ちて更に走って行ったのです。
その勢いでコンセントからプラグが抜けて、ようやく止まりました!ビックリしました。
丸ノコにはスイッチオンの状態を保持するボタンが付いていますが、押されたままだったんです。
走る方向がこちらに向かっていたらと思うとゾッとします。
現にこのことで顔面を切断されて亡くなった方がいます。
本当にあぶないです。
絶対に安全カバーを外したり、固定してはいけません!
ベテランほど危ないんだ!これが
取説の「絶対に外さないで」というのはダテじゃないんです。
二度としません。
パネルソーキットを開発する
カモジーの工房(GIZMO R&D)は、自分もやったこの手のケガを避けるためには
どうしたらいいのか?
このことを考えて、パネルソーのキットを開発することにしました。
なぜキットにしたのか
パネルソーは欲しいのだが、価格が高い、デカイ・天井高が足りない・入口から入らない・動力がない、などで諦めている方が多いのです。
そこで
- プロはもちろん、DIYの方でも入手しやすい、できるだけ安価なものにする
- 大きさを自在にできるようにする
- 家庭用100V電源で使えるようにする
- ケガをしない(できない)構造にする
といったことを念頭に置いて開発しました。
具体的には
- このパネルソーの要となる部分だけをコアキットとして提供して、後はホームセンターなどで入手できる材料を使って、安価にパネルソーを実現できるようにした。
-
コアキットを基に、大きくも小さくも好みで自在につくれるようにした。
-
手持ちの丸ノコを取り付けて使えるようにした。
-
手放し運転ができるようにして、ケガをしない(できない)ようにした。
最適なものを選べるように以下のキットにしました。
- コアキット
- ベースキット・・・コアキットにパイプの連結やワイヤの取り廻し機構を加えたキット
- フルキット・・・ベースキットにフレームを加えたキット
- 完成品
各キットに丸ノコを直付けしたものも選べるようにしました。
このようにして、予算に応じて様々なパネルソーを作れるようにしたわけです。
とにかくケガをしてはいけません!
まとめ
パネルソーキットは自由度が高いので、様々な冶具を作っていろいろな加工ができるようになります。
昇降盤での加工のほとんどができてしまうようになります。
ということで、冒頭の写真の昇降盤は処分してしまいました!
だれもがケガをしないように、安全で楽ちんなものづくりができるように祈っています。
より詳しくは、こちらをご覧になってください。